近年ドライアイの研究が進み、ドライアイの原因は様々であることが分かってきました。眼表面には粘膜が張っているのですが、粘膜は1ムチン層、2水層、3油層の3層構造でできています。ムチンはいわゆる粘り気成分で、これを分泌することで眼表面に水分を留めておく力になります。油層は水分の蒸発を防ぐ働きがあります。ドライアイというと、涙が足りないというイメージがあると思いますが、実はそれだけではなく、ムチンや油の分泌も必要なのです。

ドライアイの症状は様々で、乾燥感・シバシバした感じなどは分かりやすいのですが、膜が張っている・瞼が重い・眼脂などもよく聞かれます。アレルギー性結膜炎・コンタクト使用が原因でドライアイになることがあり、10代からみられる疾患です。40代になると4割以上の方がドライアイになっており、かなり身近な病気と言えます。

ドライアイの治療

(※マイボーム腺の治療は「マイボーム腺梗塞・霰粒腫」項をご参照ください)

生活環境の調整


パソコン作業、事務作業、検品作業など眼をよく使う仕事はドライアイになりやすいです。意識して瞬目する、眼を見開かない、座高を高くするなどの対応をしましょう。運転手、デスクワークの方はエアコンの風向が顔に向いていると乾燥しやすくなりますので、風向きの調整をしましょう。

点眼治療


点眼が治療の基本です。足りない水分を点眼で補います。涙液と等張の生理食塩水、ヒアルロン酸を含んだ点眼液、ムチン産生を促すジクアホソルナトリウム、ムチン産生細胞である杯細胞を増加させるレバミピドがあります。その他低濃度のステロイド点眼を併用するのも効果的です。

涙点プラグ


涙点にシリコン製の栓をすることにより涙の排出を抑えます。点眼薬は、点眼しても瞬きによって排出されやすいため、涙点に栓をし、点眼が眼表面に留まりやすくします。

手術


重症例では涙点閉鎖、涙小管摘出などの外科的治療が行われます。それでもコントロール不良であれば、瞼裂縫合し眼を細めるようにします。