眼瞼縁にはマイボーム腺という皮脂腺があり(図の矢印が指している黄色い部分)、眼表面に油を分泌することで涙が蒸発しにくくする働きがあります。

結膜炎、コンタクトなどが原因で、眼瞼縁に炎症が起き、腫れるとマイボーム腺開口部が詰まりやすくなります。下図はマイボーム腺が白く固まり閉塞している写真です。

マイボーム腺から油が分泌されないと、涙が産生されていても、眼を開けている間に涙が蒸発しすぐ乾燥してしまいます。マイボーム腺は、適切にケアすることで分泌機能を改善させることができます。ケアを習慣づけてドライアイ対策を行っていきましょう。

また、マイボーム腺が閉塞し、眼瞼内に油が溜まるとコリコリと触るようになります。この周囲にアレルギー反応を起こすことがあり、赤く腫れたものが霰粒腫です。

治療

マイボーム腺のケア方法


温める

マッサージする

保護する

温罨法

眼を温める行為をさします。温罨法の目的は詰まったマイボーム腺の油を柔らかくすること、まぶたの血流を良くすることです。市販品に様々な商品が出ているので探してみてください。使い捨てのものや、小さな枕のような形でレンジで温めて何度も使用できるものもあります。温罨法を院内で行う際は、タオルを温めたお湯にひたし、ビニール袋に入れて眼に当てます。ビニール袋に入れると保温が保てます。患者さんへ指導する際は、入浴中の施行をお勧めしています(一番エコなので)。眼瞼は皮膚が薄いので熱はすぐに伝わります。数十秒施行すれば十分です。

眼瞼マッサージ・眼瞼清拭


睫毛の付け根周囲をゆっくりマッサージすることで、マイボーム腺の脂の詰まりを除去したり排脂を促したりします。アイシャンプー等を用いてマッサージを行うと、マイボーム腺周囲の細菌やダニを減少させる効果があります。

マイボーム腺の保護


上記の方法でマイボーム腺を清潔にした後、眼軟膏を塗布しておくとケア効果が長続きします。冬は寒いうえに乾燥しやすいので、病状に応じて必要なケアを行ってください。

霰粒腫の治療

閉塞したマイボーム腺を開通する方法は残念ながらありません。霰粒腫に対しては抗アレルギー薬やステロイド薬を投与し消炎を図ります。しかしこれは溜まった油を除去する効果はないため、赤みがとれてもしこりは自然に吸収されるのを待つしかありません。ただし巨大化した場合は穿刺や切開で内容除去を行います。あまりに再発緩解を繰り返す場合は、皮膚に瘢痕を残すことがあるため、長期に点眼・軟膏を行い再発予防することがあります。